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ようこそ、イングランド啓蒙研究会のウェブサイトへ

ようこそ、イングランド啓蒙研究会のウェブサイトへ。 このウェブサイトは、17世紀イングランド発祥の啓蒙思想の研究および、この啓蒙運動のヨーロッパ/北米/日本への伝播・発展についての研究を促進し、広く発信することを目的としています。 従来の哲学/政治学/経済学/宗教思想とい...

2021年6月1日

第19回研究会の報告

  

第19回イングランド啓蒙研究会

2021/2/28 オンライン

 第19回研究会では、前回に引き続き、イングランド啓蒙を理解する上でも重要なフランシス・ハチスンの『美と徳の観念の起源』「第一論文」の報告と検討がなされた。

 ハチスンにとっては「多様性を伴う均一性」に美を見出す感覚は生得的なものだとされるが、この美的感覚が一般的な基準となるかが議論された。ロックにおいて美の多様な嗜好は習慣や教育によって形成されるとされるが、ハチスンは美の対象の好みが多様であることを認めつつ、美の感覚は均一で内在的なものだとみなす。

 美的感覚の生得性・内在性を支える神の存在と性質についても議論のテーマとなった。



2021年5月21日

メンバー紹介 内坂翼


内坂翼(うちさか つばさ)

 専門は哲学史・倫理学・政治思想史。ジョン・ロックの認識論、自由論、所有論、経験哲学、政治哲学、教育哲学などのテーマについて取り組んでいます。ロック哲学の形成過程を分析する上で、イングランドにおけるルネサンス思想、新プラトン主義、キケロ哲学の受容にも関心を抱いています。

 共同研究においては、ロックが想定した「理性的で自由な行為者」という人間像がイングランド啓蒙においていかに展開していったかを考察したいと考えています。


2021年1月27日

メンバー紹介  中野安章

 

中野安章(なかの やすあき)

 専門は、哲学・科学思想史。イングランド、及びアイルランドにおける、17-18世紀の自然哲学に関心があり、主としてGeorge Berkeley の視覚論、その自然学と形而上学との接続に関して研究し、また担当した講義ではBaconやBoyleの実験哲学などを扱ってきました。

 「イングランド啓蒙」をテーマとしたこの共同研究では、政治・倫理・宗教思想も含めて他の方々から学びつつ、特にBacon, Boyle, Whistonを中心に、ボイル講演の設立に至るまでの17世紀イングランド自然神学の形成過程を明らかにしたい(さらに出来ればその後のヴィクトリア時代までの展望も開きたい)と考えています。



2021年1月25日

第18回研究会の報告

 

第18回イングランド啓蒙研究会

2021/1/24 オンライン

 第18回研究会では、前回に引き続き、科研費基盤B「イングランド啓蒙への学際的アプローチ―「開かれた理性」の復権を目指して―」の成果発表論文集について、前回発表を行えなかったメンバーが、担当章の構想発表を行った。各メンバーの発表内容及び啓蒙思想との関係を中心に、主意主義と主知主義、自然神学と理神論、刑罰の効果と功利主義等について、活発な議論が行われた。

  • 啓蒙時代以前の光 ― リチャード・フッカー『教会政治法論』の構造
  • イングランド自然神学の形成 ― 17世紀から18世紀初期までの発展史
  • ロックの刑罰論


 また、イングランド啓蒙を理解する上でも重要なフランシス・ハチスンの『美と徳の観念の起源』について、報告者から、ハチスンの生涯、影響関係、人物像、関連文献等について紹介がなされた後、同著作の序文(特にハチスンの基本的な構想や道具立て)の検討が行われた(「第一論文」の検討は次回)。その中で、ハチスンの美の感覚とロックの生得観念説批判について議論が行われた。



2020年12月22日

第17回研究会の報告

  

第17回イングランド啓蒙研究会 

2020/12/21 オンライン

 第17回研究会では、この研究会の母体となっている科研費基盤B「イングラン
ド啓蒙への学際的アプローチ ―「開かれた理性」の復権を目指して」の成果発
表論文集について、各メンバーから、担当したい章の簡単な構想発表を
行った。これまでの研究会での読書会や、学会発表に基づくものも見られた。

  • イングランド啓蒙における自然権概念の意義
  • ロックの労働観とシティズンシップ
  • ロックとヴォールテールの寛容論
  • ホッブズによる学問(science)としての道徳哲学とイングランド啓蒙
  • 17世紀から18世紀にかけてのイギリスにおける理性概念の一断面
  • 契約論と反契約論 ―ロックとフィルマーを中心に―
  • ジョン・ロックの自由論改訂と啓蒙の人間像
  • 『人間知性論』初版(1690年)刊行後のロック哲学の展開に見られる教育論の基底
  • ロックとトーランド―理性にもとづく聖書解釈の同時代的な意味を中心に―
  • イングランド実験哲学の流れ ―王立協会、知識論、アイルランドへの影響


 また、上記のような多領域に跨る論文集を編集していくにあたっての、方針に
ついても議論された。1.分野(政治、倫理、科学、哲学、…)からアプローチす
るのか、2.コンセプト(公共性、自律性、寛容、…)から迫るのか、3.国(地
域)からアプローチするのか。これらのうち、2.が良いのではないか、ただし
編集にあたっては1.も併用したらどうか、といった議論が行われた。




 

2020年11月16日

第16回研究会の報告

 

第16回イングランド啓蒙研究会

 

2020/11/15 オンライン

報告者: 中野安章

書評・紹介:
Peter Harrison, The Territories of Science and Religion, The University of Chicago Press, 2015. 

 

 第16回研究会では、以下のようなハリソンの Territories of Science and Religion の中心を成す「科学と宗教の双生」というテーマに沿って、まず全体の方向性が示される第一章について紹介し、次いで中心テーマが展開される第四章、第六章を中心にその内容をできる限り詳細に紹介した(その部分を含む書評については、後日、本サイト内で発表したい)。そしてそれに続く質疑では、紹介した内容に関して、参加者から様々な角度から検討が加えられ、理解が深められた。

 

 本書の著者、ピーター・ハリソンは、オーストラリアのクイーンズランド大学を本拠とし、ヨーロッパ近代の宗教思想・科学思想に関する優れた著作、論文を、多数発表している。本書はその集大成とも言えるもので、2011年にエディンバラ大学に招聘されておこなったギフォード講演を、さらに改訂して成ったものである。本書で扱われる論点は多岐に亘るが、その主要テーマを一言で表せば、「近代における科学と宗教の双生」ということになるであろう。

 我々は今日、「科学」や「宗教」が自明の存在をもつかのように語り、現代世界における活動や出来事にそれらカテゴリーを当て嵌め理解しようとする。その際ともすれば、どちらのカテゴリーについてもある特定の歴史的環境の産物であることを忘れ、それらの区別が時間や文化を超えた普遍的な妥当性をもつかのように扱いがちである。しかし科学と宗教の歴史的起源の忘却は、それらがその中で形成された過去の営為に関する誤った見方の源泉になってきたばかりでなく、現在進行中の知的、政治的、文化的な様々な事象の見方をも曇らせる可能性があるだろう。本書は、現代を特徴づける二大カテゴリーである科学と宗教の歴史的生成を辿ることを通じて、これらのカテゴリーに関わる過去と現在進行中の状況の両方について、われわれの慣れ親しんだ視点を再考するよう促す。

 ……

 

 報告全文を読む (PDF)




 

 

2020年11月13日

メンバー紹介  瀧田寧

 瀧田寧(たきた やすし)

 これまでは、ジョン・ロックの哲学(特に『人間知性論』)の意義を、モンテーニュ、パスカル、ポール・ロワイヤル論理学、ポパーと比較しながら、考察してきました。

 この共同研究では、『人間知性論』だけでなく『知性の正しい導き方』をも検討対象とし、それらがどのような影響のもとに書かれ、また受容されていったのかを、見ていきたいと思います。また、『知性の正しい導き方』と『教育に関する考察』との関わりについても、検討していきたいと思います。

 (2022年度まで)


2020年11月11日

第15回研究会の報告

  

第15回イングランド啓蒙研究会 

2020/10/18 オンライン

報告: 瀧田寧「ロック『知性の正しい導き方』における哲学教育的意義 教養としての哲学教育の現場から」

 『知性の正しい導き方』は、ジョン・ロックが自身の哲学上の主著『人間知性論』第四版(1700年)に新たな一つの章として付け加える予定でありながら、結局完成させることができず、ロックの死後、『ジョン・ロック氏遺稿集』(1706年)に収められたものである。単行本としては1741年に出版され、日本語訳は1999年に下川潔氏によるものが御茶の水書房から、2015年には同氏による改訳版がちくま学芸文庫から出た。

 本報告ではまず、発表者が所属する日本大学商学部の図書館が発行する学内誌に寄稿した本書(ちくま学芸文庫版の翻訳)の紹介文を取り上げた。学内誌の編集委員会から依頼されたテーマは、「コロナ禍との関連で読むべき本」であったが、それに続けて「苦難の中で力や知恵、生きる上でのヒントを与えてくれる本」とあったので、紹介文では特に後者のテーマを意識して、本書の第二八節「練習」と第三九節「意気阻喪」を取り上げた。この二つの節の紹介で発表者が強調したかったのは、どのような時でも、まずは自分自身の力量を知ること、そして自分に最もはっきりと捉えられるものから着手して知性の働きを漸進的に進めていくこと、という、まさに「哲学する」うえでの基本的な態度である。

 本報告ではこれに続けて、実際に商学部生を対象とする教養科目としての哲学の授業で、本書をどのように活用しているのかを紹介した。

 教養科目なので、ロックだけを扱うわけにはいかず、時間が限られている。そのため、例えば専門科目でロックの哲学を取り上げる際にはある程度時間をかけて説明する「観念」の説明も、省かざるを得ない。そのような条件のもとでは、『人間知性論』を取り上げることは難しい。けれども、『知性の正しい導き方』ならば、例えば<読書>のような誰にとっても身近な場面での知性の導き方が説かれているので、「観念」の説明を抜きにしても、ロックの経験論の意義を十分に伝えられる。

 本報告では、実際に授業で使用している配布プリントに沿って、学生に理解してもらいたいポイントを説明しながら、プリントに掲載した『知性の正しい導き方』からの引用部分を学生自身の経験に置き換えて理解させる試みを紹介した。



Cf. John Locke, Of the Conduct of the Understanding. Edited with General Introduction, Historical and Philosophical Notes and Critical Apparatus by Paul Schuurman (Doctoral dissertation, defended 10 April 2000, University of Keele, Department of Philosophy).


2020年9月23日

第14回研究会の報告

 

第14回イングランド啓蒙研究会 

2020/9/20 オンライン

 「感染症と啓蒙」というテーマで、ダニエル・デフォー『ペスト』(中公文庫)と、林直樹『デフォーとイングランド啓蒙』(京都大学学術出版会)の二冊を扱い、両書の内容を検討・議論した。

 『ペスト』の正式な書名は「ペスト流行の年の記録:1665年の最後の大いなる災厄に襲われたロンドンにおける公的および私的なもっとも驚くべき出来事の報告あるいは覚書 その間ずっとロンドンに留まっていた一市民による未公開の著作」であり、1665年にロンドンで流行したペストに対する市民の反応や行政府の対応を詳述した「記録文学」として読み解くことができるだろう。2020年に新型コロナウイルスに襲われた現代社会でも見られたような、生命(安全確保)と生活(仕事)のジレンマ、デマや怪しげな薬・治療法の流行、家での隔離と対人距離の確保の必要性の訴え、治安の崩壊、貧困者への慈善、潜在的感染者(無症状感染者)を通した感染の拡大、死亡数に関する公的統計への不信、感染者減少による軽率な外出の増加など、時代を超えた感染症にまつわる現象と人間心理をそこに見て取ることができた。

 『デフォーとイングランド啓蒙』は、穏健なイングランド啓蒙思想家であるデフォーの政治経済思想に焦点を当てた研究書である。非国教徒学院でその思想を育んだデフォーは、隣国フランスのカトリック勢力を牽制するプロテスタントである一方で、英国国教会から迫害される非国教徒という立場にあった。デフォーは商業の原理による英国の統一を掲げながら、専制と迫害を排除した多元性に寛容で穏健な統治を理想とした。本書については、大塚史学に対する批判、一貫した明晰な分析概念による理論的分析、「イングランド啓蒙」の内容についての具体的で詳細な考察などがさらに求められる、といった議論が交わされた。

 


 

 

2020年9月22日

第13回研究会の報告


第13回イングランド啓蒙研究会

2020/8/1 オンライン

 本研究会の会員である渡邊裕一の新著『ジョン・ロックの権利論 生存権とその射程』(晃洋書房、2020年2月)の合評会を実施した。

 第一報告「ロックの生存権論の射程」(小城拓理)では、渡邊『ジョン・ロックの権利論』の内容紹介とその検討が行われた。その結果、本書はこれまで所有権論に集中していたロックの権利論研究においていかに画期的であるかが示された。

 第二報告「渡邊裕一『ジョン・ロックの権利論』へのコメント」(柏崎正憲)は、同書がロックのcharitableな(慈愛を重んじる)側面や、後世の読者によるsocialな解釈に発展していく側面に光を当てたことを、主要な成果として強調した。その一方で、ロックの「生存権」とその所有権論や貧民観との緊張という論点にかんしては、渡邊の所見にたいする疑問も提示した。

 ロック研究に内在的な観点としては、小城からはロックの慈愛の権利と生存権の関係性に関して、柏崎からは「救貧法改正案」のテクスト解釈に関して、著者の渡邊としても的確かつ有益と思えるコメントがなされた。

 渡邊からのリプライ、他の研究会参加者からの質問と渡邊による応答が続き、活発な討論へと発展した。とくに武井による労働所有権論の位置づけと方法論上の限界に関する指摘と、内坂による生存権と自己所有権の異同に関する指摘とについては、著書の構成上重要な論点として、著者にも受け止められた。こうして本合評会では、ロックの「生存権」の包括的解明のために渡邊がなした寄与を明瞭にすることができた。