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ようこそ、イングランド啓蒙研究会のウェブサイトへ。 このウェブサイトは、17世紀イングランド発祥の啓蒙思想の研究および、この啓蒙運動のヨーロッパ/北米/日本への伝播・発展についての研究を促進し、広く発信することを目的としています。 従来の哲学/政治学/経済学/宗教思想とい...

2021年6月2日

第20回研究会の報告

   

第20回イングランド啓蒙研究会

2021/4/25 オンライン

 第20回研究会では、前回に引き続き、イングランド啓蒙を理解する上でも重要なフランシス・ハチスンの『美と徳の観念の起源』「第二論文」の報告と検討がなされた。

 第二論文の第一部から第三部までの報告では、道徳的善悪の知覚が自愛心ではなく道徳感覚に由来すること、有徳な行為の源には利害を離れた感情としての仁愛(benevolence = 善意、利他心)があること、行為の道徳性は行為者の仁愛と能力の複合比から利害を差し引いたものによって計られること、という議論が報告された。

 第二論文の第四部から第七部までの報告では、行為の是認が公共性への有用性と仁愛の外観から生じること、仁愛には段階があって近い対象ほど大きくなることがあること、能力・利害・損害・法の知識・絆の強さなどが行為の徳と悪徳の程度に影響を与えること、理性的行為者の最善の状態と最も価値ある幸福が普遍的で効果的な仁愛に見出されること、という議論が報告された。

 これらの報告を踏まえ、benevolenceの適切な訳語、benovolenceと道徳感覚との関係、道徳感覚と美的感覚とのアナロジー、などについて議論がなされた。